久しぶりにゆうさんと会った。
私が行きつけの六本木芋洗い坂の居酒屋「あぶらや」という所。
もう20年の馴染みの店。
そこでほとんど私の指定席で呑んだ。そこは日本酒の種類をかなり置いてある。
料理も旨いし、ゆうさんもよく行ってる店なので最初から2人して日本酒と決め込んだ。
地酒の順番は店のオヤジさんにいつも通り任せる。
「ゆうさん、あの娘さつきちゃんて言ったっけ。何度か会ってるらしいじゃない」
ゆうさん答えず旨そうに日本酒を呑んでいる。
顔艶もいい。茄子漬と鱸の塩焼きがまた日本酒に合う。
ゆうさんは旨そうに食べて旨そうに呑む。こっちも酒が進む。
「ゆうさん若返ったんじゃない?達人も恋をするか」「あいつが余計な事言ったんだろ」
「上原さんかい?」頷くゆうさん。「この前一緒に呑んだよ」
「あいつは昔から知ったかぶりでくだらん事ばかり言いやがる」だけど
嫌な顔はしていない。元来ゆうさんと上原氏はそんなに仲は悪くないんじゃないか?
「ゆうさん、山下ていう人だけど、彼は」
「なんだやっぱり、あいつはそんな話をしたわけだ」
「まあ簡単にね。彼はあのゆうさんが好きだった咲さんの子供じゃないの?」
酒が入ってることもあり、いきなり聞いてしまった。
「そうだよ。言っとくが俺のじゃなにぜ」そんな事あわかってらあ。
それにしてもあっさりと認めたもんだ。
「上原がなにを話したか知らないが、あいつは表面的な事ばかりを言う」
「でもゆうさん、捜してたんだろ?」
「熱心ではなかったがな。俺もあの頃は忙しかったからな。
向こうの方が捜し出して訪ねて来たんだ」
「ほう、それはそれは…」
「初めて対面した時驚いた。咲さんは俺の話をよくしてたようだ」
「どんなこと話したんだろうね」「さあな、結構誉めてくれてたようだ」
「ゆうさんのことを?本当かい(笑)」
「咲さんは正直で素直な人なんだ。お前さんにはわからんよ」
「……?」