古い2階建てのアパート。
ゆうさんが住んでる所だ。意外というか、地味というか、なんか侘しさを覚える。表札に志堂の名がある。フラフラしながらゆうさんはポケットから鍵を取り出しドアを開けると靴を脱ぎ捨て真っ暗な部屋に倒れ込んだ。
「ゆうさん、明かりは?」ゆうさんは上体起こし垂れ下がってるヒモを引いた。明かりがついた。籠った匂いがする。馴れた匂いというか、要するに加齢臭である。6畳の和室に4畳半の板張り。多分万年床だろう。その上にゆうさんは倒れ込んでいる。もう寝息を掻いている。
小さなテレビに昭和時代のちゃぶ台がある。殺風景な部屋。枕元に若い男と写ってる少し若めのゆうさんの写真。その若い男が山下か?
さつきちゃんはすぐに我々のテーブルに来てくれた。少し派手目だが、たしかにいい女である。足もきれいでスタイルも良い。ゆうさんがそばにいなかったら私が口説いてたかもしれない。神谷良介はVIPルームに移ったようだ。
ゆうさんはさつきちゃんの顔を見ている。「後ろ髪をちょっと上にあげてくれないか」さつきちゃんはニッコリして言う通りした。たしかに咲さんに似てるかも。ゆうさんの呑むペースが早くなった。
さつきちゃんが名刺を渡す。ゆうさんはただ見つめてるだけ。仕方なしに私がゆうさんの紹介およびそこまでの経緯を話した。「えぇ!初恋の人?光栄です!」案外礼儀正しい女なのか?彼女の名刺にはすでに携帯番号とメルアドが書いてある。
さつきちゃんは主に私と話し、VIPルームに行った。ゆうさんは急に酔いが回ったのか眠り始めた。年甲斐にもなくトキメキを感じたようだ。後は先に書いた通りだ。