その夜、ゆうさんはしこたま酒を呑んだ揚げ句酔いつぶれてしまった。
深夜いい時間になったので勘定しようとしたら、上原さんから頂いていますという。
「いや、それは困る」というと、ゆうさんがむっくり立ち上がって財布を私に預けた。
「あいつに払わしたら駄目だ」と言ってバタンとまた座りこんだ。
中身を見ると6万ちょっとしかない。これじゃあ私の分はない。
上原氏がそばにやって来て
「渕選手、いいから先生をよろしくお願いします。ここは本当大丈夫ですから」
「悪いですね。俺は初対面なのに。大先生は送って行きます」
上原氏黙って頷いて見送ってくれた。
タクシーに乗りこんで酔ったゆうさんから少しづつ住所を聞いて送った。
大江戸線の赤羽橋の近くに住んでいる。六本木から近くていい場所だ。
だけどこのオシャレ場所には似つかわしくないアパートであった。
酔いつぶれたゆうさんに肩を貸し私は階段を上がり2階のゆうさんの部屋に向かった。