私がゆうさんの席に戻ろうとすると上原氏が「渕選手、まあいいじゃないですか。あの子は当分先生の席には付けないでしょう」「どうして?」「一緒に来た人物、あれは神谷良介。IT関係の仕事で成功している若き実業家だ」「へぇ、テレビで見た事あるかな?」「多分。若いといってももう30代後半だろ。俗にいうヒルズ族で、たしかにやり手ですよ。今度カナダにあるオイルサンドの企業に投資する話もあるらしい。タレントや女子アナとの噂も数多い」とやっかみ顔で話す上原氏。
「なるほどねえ。モテそうな雰囲気だな」「あの子だって神谷と一緒だからこんなに遅い時間に同伴しても多分誰からも文句はないでしょう。なにせ神谷は金払いがいいからなあ。ま、それだけ稼いでるてことだが」「ふうん…。ともかく一度戻りますわ。どうもご馳走様でした」「あっ、渕選手。先生にお伝え下さい。また小説書くことがあったら是非お願いしますと。うちは待ってますから」私は頷いてゆうさんの席に戻った。
ゆうさんは酔った目で私をジロリと見て「あの野郎と何くだらん話をしてるんだ」という。「ゆうさんの悪口に決まってるだろうが」「ふん!」「それよりゆうさん、あの角にさっき来て座った子、あの子がさつきちゃんていうんだって。咲さんに似てる?」「ああ似てる」「そうかなあ?とにかくもうすぐここ来るらしいから、後はうまくやって」「おい、なんだよ。それはないだろ!」
情けない顔のゆうさん。「いい年をして!今はいるよ。彼女が来て乾杯でもしたら」「帰るのか?」「…それかまた上原さんの席に行って話をするか」「おい、今日は俺の誘いに乗って付いて来たんだろ。俺の奢りでいいから」「なにが俺の奢りだよ!まだ一銭も金出してないくせに!調子いいんだからもう!」たしかに今夜のゆうさんは女の子に説教こかないし何かと調子いい。